
電験一種の同期機は難しい…
こんばんは、ももよしです。
先日、電験一種の一次試験を受験しました。
機械科目の問1で同期発電機についても問題が出題されボコボコに…(泣
同期機についての基礎知識が全く足りないと思い、同期機についてまとめました。
同期機の等価回路とベクトル図
三相同期発電機の一相分の等価回路は図1のようになる。
ただし、無負荷誘導起電力\(\dot{E}{}_0\)、端子電圧\(\dot{V}\)、電機子電流\(\dot{I}{}_a\)、同期リアクタンス\({}X_s\)、電機子抵抗\({}r_a\)、内部相差角\(\delta\)、力率\(cos\phi\)とする。
この時の、電流・電圧のベクトル図は図2のように表せる。
ベクトル図より、下記の2つの式を書き表せる。
$$ V-{}I_a({}r_a cos\phi + {}X_s sin\phi)={}E_0 cos\delta …①$$
$${}I_a({}X_s cos\phi-{}r_a sin\phi)={}E_0 sin\phi …②$$
式①、②の二乗の和をとると
$${}E_0=\sqrt{\lbrace V-{}I_a({}r_a cos\phi-{}X_s sin\phi)\rbrace{}^2+\lbrace {}I_a({}X_s con\phi-{}r_a sin\phi)\rbrace{}^2}$$
電機子抵抗\({}r_a\)、機械損を無視できるものとすると
$${}I_a cos\phi=\frac{{}E_0 sin\phi}{{}X_s}$$
負荷の有効電力\(P\)は
$$P=V{}I_a cos\phi=\frac{V{}E_0}{{}X_s}sin\phi$$
で表される。
$$ V-{}I_a({}r_a cos\phi + {}X_s sin\phi)={}E_0 cos\delta $$$${}I_a({}X_s cos\phi-{}r_a sin\phi)={}E_0 sin\phi$$有効電力\(P[W]\)$$P=V{}I_a cos\phi=\frac{V{}E_0}{{}X_s}sin\phi$$
三相同期発電機の特性
無負荷飽和曲線
三相同期発電機を定格速度で運転しているとき、界磁電流\({}I_f[A]\)と無負荷の端子電圧\(V[V]\)の関係をグラフに表したもの。
無負荷とする理由は、電機子電流が流れ電圧降下が発生しないようにするため。
よって、内部誘導起電力\(E\)と出力端子\(V\)の関係は、
$$ V=\sqrt3 E $$
となる。界磁電流\({}I_f\)を強めると出力端子電圧は大きくなり、その関係は図3のブラフ(無負荷飽和曲線)で表すことができる。
界磁電流が増加すると鉄心が磁気飽和するので、電圧の増加が鈍くなっていき曲線となる。ここで、界磁電流が0 Aになっても出力端子電圧が\(0 V\)とならないのは残留磁気があるため。
三相短絡電流特性曲線
三相同期発電機の3つの端子を短絡させ、定格速度で回転させる。この時の界磁電流\({}I_f[A]\)と三相短絡電流\({}I_s[A]\)の関係をグラフに表したもの。
三相短絡電流\({}I_s\)は、相電圧を\(E\)、同期インピーダンスを\(\dot{Z}\)とすると下記のように表せる。
$${}I_s=\frac{E}{\dot{Z}}$$
界磁電流\({}I_f[A]\)を変化させると、相電圧\(E\)も変化し、三相短絡電流\({}I_s\)も変化する。これらをグラフに描くと次のようになる。
三相短絡曲線は、電気子反作用によって鉄心の磁気飽和が生じないので原点0を通る直線となる。
短絡比と百分率同期インピーダンスの関係
百分率同期インピーダンスとは
同期インピーダンス[Ω]を%単位で表したのもを百分率同期インピーダンス[%]という。
百分率同期インピーダンス\(%{}Z_s\)は、同期インピーダンスを\({}Z_s\)、定格電流を\({}I_n\)、定格相電圧を\({}E_n\)、定格線間電圧を\({}V_n\)とすると以下のように表せる。
$${}\%Z_s=\frac{{}Z_s{}I_n}{{}E_n}\times100$$
$$=\frac{{}Z_s{}I_n}{\frac{{}V_n}{\sqrt{3}}}\times100$$
短絡比とは
短絡比\({}K_s\)とは、無負荷で定格電圧\({}V_n\)を発生させる界磁電流\({}I_fs\)と定格電流\({}I_n\)と等しい三相短絡電流を発生させる界磁電流\({}I_fn\)の比のこと。
短絡比は、三相同期発電機を三相短絡したとき、定格電流\({}I_n [A]\)の何倍の電機子電流\({}I_s [A]\)が流れるかを表す。
界磁電流と力率,無効電流の関係
同期発電機の界磁電流を調整することで力率、無効電力を調整することができる。
界磁電流を調整したときのベクトル図の変化は下図のようになる。
電機子抵抗\({}r_a\)は同期リアクタンス\({}X_s\)に比べ小さいので、計算する際には省略されることが多い。\({}r_a\)を無視できるものとすると
$$\dot{I}{}_a=\frac{\dot{V}-\dot{E}{}_0}{j{}X_s}$$
$$\dot{I}{}_a=\frac{{}E_0 sin\phi + j({}E_0 cos\phi-V)}{{}X_s}$$
と表すことができる。
この時の電機子電流\({}I_a\)と界磁電流\({}I_f\)の関係を表したグラフをV曲線といい以下のようになる。
同期機の勉強には以下の参考書が丁寧に解説されているのでお勧めです。
また、下記のサイトも発電機や送配電技術について詳しく解説されているので参考にしてみて下さい。