タップって何?
電力会社などから受電している電圧は拠点によって異なります。同じ6kV受電の場合でも、変電所の近くでは6.9kV近くになることもあるそうです。
そのため、変圧比を調整する必要が出てきます。変圧比を調整するための機構がタップです。
電圧を確認し必要に応じてタップを調整し、電圧を適正な範囲内に保つために使用します。
例)一次側タップ電圧6600V、二次側タップ電圧210Vの変圧器
一次側の電圧が6530Vだった場合、二次側の電圧は以下のように概算できます。
$$ \begin{align} 二次側電圧 V_{2} &= \frac{二次側タップ電圧}{一次側タップ電圧} \times 一次側の電圧 \\ &= \frac{210}{6600} \times 6530 = 207.77 [V] \end{align}$$
このように簡単に計算できます。
タップ電圧の前についているアルファベット
変圧器のタップ電圧には”F”や”R”がついている数字とアルファベットがついていない数字があります。それぞれ次のような意味を持っています。
- F:全容量タップ電圧
変圧器の定格容量通り使用できるタップ電圧 - R:定格容量タップ電圧
変圧器の定格容量通り使用できるタップ電圧 - なし:低減容量タップ電圧
定格容量よりも少ない容量までしか使用することができない
これは、電圧を低くすと電流がたくさん流れるようになるため、巻線の許容電流の値により変圧器の容量が決められてしまうためです。
タップ値を決める
変圧器のタップを決定するときには次の点が重要になってきます。
- 変圧器一次側電圧、二次側電圧
- 変圧比
- 電圧変動率
- %インピーダンス
- 定格容量
このあたりの数値を確認していく必要があります。
特に注意しておきたいのが、変圧比(タップ値)と二次側電圧です。更新の際には、設置当初よりも負荷が増え電圧が想定より低くなっている場合があります。
電圧が低くなるとその分、電流が流れ変圧器温度の上昇にもつながり絶縁油、絶縁紙の劣化を速めていきます。適切な範囲内で運用できるように更新の際には、見直しをしておくことをお勧めします。
タップの種類
タップは大きく分けて3つのタイプがあります。
無電圧タップ切替台
ハンドホールを開け、絶縁油に浸かっている端子台のバーを変更したいタップに繋ぎ変える方式のものです。接触不良などが起こりにくいので、長期にわたって安心して使用できます。
しかし、500kVA程度の小容量までしか対応していないメーカーがほとんどです。
無電圧タップ切替器(NVTC)
無電圧タップ切替器とは、外部からタップを変更するためのハンドルが備え付けられているものを指します。無電圧(no-voltage)タップ切替器(tap changer)これらの頭文字をとってNVTCと呼ばれることもあります。
750kVA以上の油入変圧器のタップはこのタイプが多いです。変圧器を開放せずにタップ変更が行えるので、品質、環境管理が簡単なのが特徴です。
負荷時タップ切替器
大容量の変圧器や変電所などで用いられる変圧器に多いです。
一般的な工場では見かける頻度が少ないかなと思います。
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