ライフワークバランスを考え、2019年に中学校教師から電気エンジニアに転職しました。現在も、化学メーカーの電気エンジニアとして定期メンテナンスや新設プラントの設計業務などを行っています。
未経験にもかかわらず、電験三種と年齢が若いことを理由に採用をいただけましたが、実際に仕事をしてみると、右も左もわからず苦労の連続でした。
今回は、これから電験三種を取得して転職を考えている方へ、実務経験ゼロからの転職ではこんなことに悩まされるということを紹介していきます。
- 現場で使用される専門用語がわからない
- 電気工事の内容がイメージできない
- 年間のスケジュールや工期、納期の感覚が分からない
- 資格の学習内容とは異なる知識も必要になる
専門用語がわからない
電験三種の知識だけでは仕事はできない
大学生時代に電験3種を取得していた私ですが、まずは資格試験に合格することを目標にしていたため、言葉の意味を深く理解していなかったり、実物と知識が結び付いていない部分が多くありました。
実際、転職してから半年間の現場研修では、メモを取り、事務所に帰ってはネットで検索しいて、意味を確認する日々が続きました。
皆さんは、次の単語の意味が分かりますか?
- メガー
- ゴーイチ(51)
- オーシーアール(OCR)
- ブイシービー(VCB)
- メタクラ
電験三種は、高圧以上の電気設備を管理・監督するための資格でしかないため、実際の現場に出るには試験で勉強した内容以上に知らなければいけないことがたくさんあります。
専門用語がわからない時の対処方法
一番早い解決方法は、その場で聞いていしまうことです。電気の仕事に従事している最大のメリットは、実物が目の前にあることです。
初めは、「こんなことも知らないのか」と思われるのが嫌で、聞きにくいかもしれませんが、疑問はできるだけその場で解決してしまう方が、後々仕事を速く進めることができるようになります。
どうしても聞きにくい場合には、その場ではメモを取り、あとで自分で調べるようにしましょう。
電気工事の内容がイメージができない
実際の操作や手順を知らない
電験三種の学習で身に着けるのは、机上での理論的な内容、法律的な内容がほとんどで、現場での操作方法にはあまり触れていません。
そのため、いざ自分で電気の工事を依頼しようと思っても、どんな情報が必要なのか、実際の作業はどのように行われるのかイメージができないので、工事見積を依頼する仕様書を書くことができません。
実際、私も、入社して半年後に初めて電気工事の仕様書を作成するように上司から指示を受けましたが、自分一人では、仕様書を書き上げることができませんでした。
対処方法:施工業者に相談する
転職したての頃は、工事経験がないため作業をイメージすることができません。そこで、実際に工事を依頼したいと思っている施工業者の方に現場を見てもらう方が速く工事の仕様をまとめることがができます。
現場の作業を一番知っているのは、実際に施工している方たちです。
相手の迷惑なのではと思ってしまうかもしれませんが、施工側からすれば、依頼を受けるチャンスでもあるので、相談に乗ってくれることが多いです。
普段から、誠実に対応していれば助けてもらうことができると思います!
対処方法:実際に工事の場に足を運ぶ
話を聞くだけでは、自分の記憶にも残りません。最後は、自分で現場を見ながら何が必要なのかを再確認することが大切です。
また、工事が始まった後も、極力現場を確認して、作業の流れや作業時間等を実際に感じ取ることを大切にすると自分の成長が早いと思います。
私も、入社半年後に大きな工事をたくさん受け持つことができたので、3年目には大きなプラント建設の電気設計を一人で担当できるまでになることができました。
初めは、わからないことだらけで苦労しますが自分で調べることでより多くのことを学ぶことができます。効率が悪いようにも見えますが、初心者のうちはそんなものだと割り切って地道に取り組むことで将来的には技術者としてより成長できます。
年間のスケジュール、工期、納期の感覚が分からない
スケジュール感が分かると仕事がスムーズに進む
とてもハード生活を送っていた教師時代に身に着けたことですが、先を見越したスケジュールを立てることができると、心にも仕事にも余裕が生まれます。
しかし、転職直後の初めの1年目は、年間の大まかなスケジュールを把握する手段が全くなく、本当に苦労しました。先輩社員に聞いても、まともな返答が返ってこなかったのです。
今思うと、聞く相手を間違えたなと思っています。
対処方法:初めに工期・納期を確認する
社内のスケジュールも大切ですが、実際に工事などを行う場合、ものの手配や工事の手配が必要になります。そのため、まず初めに、施工業者やメーカーに工期や納期を確認することが大切です。
例えば、納品に半年かかる電気部品があれば、最短でも工事は半年後にしか実施できません。
このことを踏まえたうえで、社内の上司に相談する方が、スケジュール感が伝わりやすいので、話がスムーズに進みます。
また、電気工事のメインイベントともいえる停電時の点検、機器交換工事があります。
工場などでは、停電できるタイミング、期間が決められていることが多いため、事前の準備が非常に大切になります。
工事の必要な時間や物の納期を事前に確認し、限られた停電時間内で実施ができるように事前の調整作業を行うのも大切仕事です。
この社内調整でも、工期や納期を知っている前提で質問が飛んでくることが多いので、初めに施工業者やメーカーと工期・納期を打合せしておくことが大切です。
ことに力を入れました。
先輩社員にいつ、どんなイベントがあるか等を聞き、自分なりにスケジュールを立てて、対処が後手に回らないようにします。
資格以外の知識も必要になる
PCスキルが足りない
電気主任技術者資格を活すにはスケジュールや予算、工程などたくさんの事を管理するポジションになります。仕事を効率よくこなしていくためには、PCスキルは必須です。Excel、Word、PowerPoint、PDFはやりたいと考えた作業がスムーズにできるようになっていると仕事を早く片付けられます。
図面を引いたり、修正したりする場合には、CADが多く用いられています。会社の仕事スタイルによりますがCADも操作できるとさらに仕事はやりやすくなると思います。
PCスキルに関しては、特別な対処方法はありません。実行したい操作があればGoogleで検索するだけですぐにやり方が見つかるからです。そのため大切なのは、書かれていることを読んで正しく理解できる能力といえます。
シーケンスを読む力
電験や電気工事試験では、ほとんど出題されませんが、実務を行う上でシーケンス図を読む力は最も重要です。
停電や送電を行う際に、遮断機や断路器などの操作を行います。シーケンス制御によって遮断機の投入や開放などが行われるため、手順の作成には、シーケンス図を読む能力も必要になります。
また、保護継電器の試験を行う際にも、どの端子に試験入力を入れればよいかなど読み解くうえでも必要になる知識です。
まとめ
入社4年目となる今振り返ると、当たり前に感じますが当時は本当に苦しんだ内容です。
- 現場で使用される専門用語がわからない
- 電気工事の内容がイメージできない
- 年間のスケジュールや工期、納期の感覚が分からない
- 資格の学習内容とは異なる知識も必要になる
どの内容も地道に自分で調べていく努力ができれば、1年以内には普通と呼ばれる程度には仕事をこなせるようになっていきます。他の人に頼るのは早いし楽なのですが、一人のエンジニアとして成長していくためには自分で努力する姿勢が大切だと思っています。
電験3種は電気のエンジニアを目指すうえで非常に効果のある資格だと思います。
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