%インピーダンスって何?
変圧器を含む系統では、負荷に供給する電力は同じでも、変圧器の一次側と二次側で電流の値が変化します。そのため、ある地点での電流を計算しようとすると毎回変圧比を×,÷して計算しなければいけなくなり非常に手間がかかります。
そこで、換算の手間をなくすための手法として考案されたのが、%インピーダンスです。
したがって、%Zは以下の3つが分かれば算出することができます。
- 変圧器やケーブルのインピーダンス[Ω]
- 基準とする容量[kVA]
- 基準とする電圧[V]
%インピーダンスの計算方法
%インピーダンスの計算方法は直流回路で勉強した抵抗の計算方法と同じです!通常、%インピーダンスは機器の自己容量基準で記載されているため基準を揃える必要があります。一般的には、10[MVA]を基準とすることが多いですが、特に指定がなければ度の値を基準としても問題ありません。
基準容量に換算する
基準容量へは以下のように換算します。
$$ \%Z_{base} = \%Z \times \frac{基準容量}{自己容量} $$
例)定格容量(自己容量)2,000[kVA]、%インピーダンス6.0[%]の変圧器の%Zを基準容量10[MVA]に換算する。
$$ \begin{align} \%Z_{base} &= \%Z \times \frac{基準容量}{自己容量} \\ &= 6.0 \times \frac{10}{2} = 30 [\%] \end{align}$$
したがって、2,000[kVA]の変圧器の%Zを基準容量10[MVA]ベースに換算すると、30[%]となります。
直列部分の%Zの計算
初めに、変圧器の%インピーダンスを基準容量に換算します。ここでは、10[MVA]を基準容量として計算します。次に抵抗の計算と同じ要領で解き進めていきます。
$$ \begin{align} \%Z_{total} &= \%Z_{1 base} + \%Z_{2 base} \\ &= 11.0 + 33.0 =44.0 [\%] \end{align} $$
並列部分の%Zの計算
初めに、変圧器の%インピーダンスを基準容量に換算します。ここでは、10[MVA]を基準容量として計算します。次に抵抗の計算と同じ要領で解き進めていきます。
$$ \begin{align} \frac{1}{\%Z_{total}} &= \frac{1}{\%Z_{1 base}} + \frac{1}{\%Z_{2 base}} \\ &= \frac{1}{11.0} + \frac{1}{6.5} \\ &= \frac{6.5}{11\times 6.5} +\frac{11}{6.5\times 11} \\ &= \frac{6.5+11}{11 \times 6.5} \\ \%Z_{total} &= \frac{11 \times 6.5}{11+6.5} = 4.0857 [\%] \end{align} $$
%インピーダンスと短絡電流
短絡とは、何らかの原因で負荷を流れる前に電流の流れがショートカットできる道が形成される現象で、非常に大きな電流が流れるます。
短絡の主な原因としては以下のようなものが考えられます。
- 導体間にヘビやネズミなどの小動物が乗る
- 配線の接続間違い
- 風や氷雪の脱落による振動で電線が接触する
一般的な電力系統では、電源にあたる発電所から需要家の負荷までに複数の変圧器が存在します。短絡電流は、電源から事故点に向かって流れるため事故点までの間の変圧器にも流れます。
末端近くでの短絡電流を計算する場合、1つ変圧器を通過するごとに電流・電圧が変化するため通常のインピーダンスでの計算は複雑になってしまいます。そこで、計算を簡単にしてくれるのが先ほどまでに解説した%インピーダンスです。
%インピーダンスを用いた計算例
上記のような場合の事故点Fにおける短絡電流を計算することとします。ただし、基準容量は10 [MVA]、基準電圧は66 [kV]とする。
≪進め方≫
- %Zを基準容量ベースに換算する。
- 系統全体の%Zの値を計算する。
※計算方法は合成抵抗の計算と同じやり方 - 短絡電流に式に数値をあてはめ計算する。
まとめ
電験2種合格には必須の知識です。また、実務上でも非常に役立ちます。電気に携わるものとしてしっかり学習しておきましょう!
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