単巻変圧器は巻線が1つしかない特殊な変圧器です。
オートトランスとも呼ばれ、実運用上は超高圧に限られています。
電験3種では、4,5年に一度の頻度で出題されることがあります。
- 自己容量の計算
\( \begin{align} P_s &= V_1 \times I_3 \\ &= \left( V_2 -V_1 \right) \times I_2 \end{align} \) - 負荷容量の計算
\( \begin{align} P_L &= V_2 \times I_2 \\ &= V_1 \times I_1 \end{align} \)
特殊な変圧器であるため、構造の理解に苦しむ方も多いのではないでしょうか。
豊富なイラストで変圧器の構造から計算問題の解き方までを解説していきます。
それでは、学習を始めましょう。
単巻変圧器の構造
単巻変圧器は、1つの巻線を一次巻線,二次巻線として利用する変圧器です。
共用部分のことを「分路巻線」、共用していない部分のことを「直列巻線」と呼びます。
一次巻線に電圧を印加すると、コイルによる磁界が鉄心中を循環し、二次巻線側に変圧された電圧が現れます。
励磁電流などの損失を無視すると、変圧比・変流比は次のような関係式がなります。
変圧比:\( \displaystyle \frac{V_1}{V_2} = \frac{n_1}{n_2} = a \)
変流比:\( \displaystyle \frac{I_1}{I_2} = \frac{n_2}{n_1} = \frac{1}{a} \)
自己容量と負荷容量
自己容量
自己容量とは、変圧器本体の容量を表す値のことです。
分路巻線または直列巻線での容量[V・A]が「自己容量」になります。
\( \begin{align} P_s &= V_1 \times I_3 \\ &= \left( V_2 -V_1 \right) \times I_2 \end{align} \)
自己容量の\(P_s\)の添え字sは「自己」の意味をもつselfの頭文字から来ています。
負荷容量
負荷に供給することのできる皮相電力[V・A]を「負荷容量」と呼びます。
負荷容量は、線路容量または通過容量と呼ばれることもあります。
\( \begin{align} P_L &= V_2 \times I_2 \\ &= V_1 \times I_1 \end{align} \)
負荷容量\(P_L\)の添え字Lは「負荷」の意味を表すLoadの頭文字から来ています。
コメント
コメント一覧 (1件)
こんにちは、Giantsと申します。
いつも参考にさせてもらってます。
単巻変圧器の構造の欄内
変圧比・変流比の公式
V1/V2=n1/n2=a
I1/I2=n2/n1=1/a
とありますが
https://momoyoshiblog.com/wp-content/uploads/2023/02/tanmaki-figure3.png に示される図内の様に
n1を直列巻線の巻数、n2を分路巻線の巻数とするなら
V1/V2=n1/(n1+n2)
の巻数比になると思いますがどうでしょうか?