今回は、変圧器の三相結線について解説します。
結線方式に関する出題数はそれほど多くはありません。しかし、実際に仕事で携わるようになると変圧器の結線を知らないのはかなりの致命傷です。ここでは電験3種の受験に役立ち、 実務でも必要とされる内容に絞って解説していきます。
さらに詳細な理論について学びたいという方は個別のリンク先で学習を深めていただければと思います。それでは、学習を始めていきましょう。
変圧器の三相結線とは
三相結線とは、三相交流回路において各相を同時に変圧したい場合に、単相変圧器を2台または3台の結線方法のとこを言います。下の図1は代表的な三相結線を示しています。
三相結線には、それぞれの特徴があるので以下では各結線方式について説明していきます。
Δ-Δ結線
Δ(デルタ)結線とは変圧器3台を三角形の様に接続する結線方法です。
結線図は電気図面などでは良く記載される表記です。この線の図だけでは、初学者には非常にわかりにくいと思いますので、変圧器のイラストを付け加えた図と比較しながら線のつながりを確認してみてください。
電気の計算をする上では、次の接続図とベクトル図を用いる方が数学的な見方が簡単になるので、試験ではよくこちらの表記が使用されています。
相電圧と線間電圧は同じ値となります。一方で、相電流は線電流と比べ\(\displaystyle\frac{\pi}{6}\)遅れますが大きさは\(\sqrt{3}\)倍になります。
Y-Y結線
Y(スター)結線とは変圧器3台をY字をさかさまにしたような形に接続する結線方法です。
三相交流の計算を考える時には、Y結線の形に置き換えて計算を進めると非常に簡単に考えていくことができます。実際の結線の様子は下の図7の様になっています。
変圧器を流れる電流、電圧を考えるために、接続図及びベクトル図で表すと以下の様になります。
3台の変圧器で共有している接続部分のことを中性点と呼んでいます。
Y結線では、相電圧が線間電圧と比べ\(\displaystyle\frac{\pi}{6}\)遅れ、大きさも\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)倍になります。一方、相電流と線電流は等しくなります。
Δ-Y結線,Y-Δ結線
Δ-Y結線とは、一次側をデルタ結線、二次側をスター結線する方法です。一方、Y-Δ結線は一次側をスター結線、二次側をデルタ結線する方法のことを言います。
実際の結線は下図のように結線されます。
それぞれの結線方式における、接続図及び電流・電圧のベクトル図は下図のように表すことができます。
V-V結線
V-V結線は、2台の単相変圧器を使用し、一次側、二次側ともにV結線する方法です。
V-V結線時の出力の公式
\( P_{V} = \sqrt{3} V_{n} I_{n} \cos \theta \)
公式の導出は難しいので、数学が苦手という人は式を暗記するだけで問題ありません。下の図12の様に考えると、V結線の出力の公式は覚えやすいです。
次のページではV-V結線の出力の公式の導出について解説します。
興味のある方は確認してみてください。
ここまでの内容で十分に試験問題を解くことができます。数学が苦手な方は問題練習に進みましょう。
コメント
コメント一覧 (4件)
△-Y、Y-△の結線図が逆になっていませんか。
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、d-yが反対になっていましたので、記事の図を修正いたしました。
今後とも、当ブログをよろしくお願いいたします。
こんばんは、分かりやすい解説でよく利用させて頂いてます。
V-V結線の接続図
https://momoyoshiblog.com/wp-content/uploads/2023/02/sansokessen-figure18-1.pngにおいて
1次側電圧Vvwのベクトルの向きは上下反対(180度反対)と思うのですが?
回答よろしくお願いします。
いつも利用いただきありがとうございます。
ご指摘の箇所、三線図のベクトルが反転していましたので
図を修正いたしました。
今後とも、よろしくお願いいたします。