【過去問解説】R4上期理論 問2 静電気力に関する計算問題

問題

真空中において、図に示すように一辺の長さが \(1 \rm [m]\) の正三角形の各頂点に \( 1 \rm [C]\) 又は \(−1 \rm [C]\) の点電荷がある。この場合、正の点電荷に働く力の大きさ\( F_1 \rm [N]\) と、負の点電荷に働く力の大きさ\( F_2 \rm [N]\) の比 \(F_2 / F_1 \) の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

解説

答え:(3)

プラス同士の電荷の間にはたらく力を\(F_{++}\)、プラスとマイナスの電荷の間にはたらく力を\(F_{+-}\)で表すことにします。

それぞれの力の大きさは、真空中の誘電率を\(ε_0\)とすると、問題文で与えられた条件から以下のように表すことができます。

\( F_{++} = \displaystyle \frac{1 \times 1}{4 \pi ε _0 \times 1^2} = \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 }\)

\( F_{+-} = \displaystyle \frac{1 \times \left(-1\right) }{4 \pi ε _0 \times 1^2} = – \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 }\)

問で与えられた図に書き加えると図1のようになります。

正の点電荷に働く力の大きさ\( F_1 \) [N]を求める

正の点電荷に働く力のベクトルは、以下の図2のようになっています。

横方向のベクトルの合計は、

\( \begin{align} F &= \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } + \left( – \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } \times \cos \frac{\pi}{3} \right) \\ \\ &= \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } + \left( – \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } \times \frac{1}{2} \right) \\ \\ &= \displaystyle \frac{1}{8 \pi ε _0 } \end{align} \)

縦方向のベクトルの合計は、

\( \begin{align} F &= \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε_0} \times \sin \frac{\pi}{3} \\ \\ &= \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε_0} \times \frac{ \sqrt{3} }{2} \\ \\ &= \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{8 \pi ε_0} \end{align} \)

よって、ベクトル\(F_1\)[N]の大きさは、

\( \begin{align} F_1 &= \sqrt{ \left( \displaystyle \frac{1}{8 \pi ε _0 } \right)^2 + \left( \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{8 \pi ε _0 } \right)^2 } \\ \\ &= \sqrt{ \displaystyle \frac{2^2}{ \left( 8 \pi ε _0 \right)^2 } } \\ \\ &= \displaystyle \frac{2}{8 \pi ε _0 } = \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } \end{align} \)

負の点電荷に働く力の大きさ\( F_2 \) [N]を求める

負の点電荷に働く力のベクトルは、以下の図3のようになっています。

図3より、横方向のベクトルは左右に逆向きで、同じ大きさのベクトルであるため、0となる。

縦方向のベクトルの大きさは、

\( \begin{align} F &= \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } \times \cos \frac{\pi}{6} + \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } \times \cos \frac{\pi}{6} \\ \\ &= 2 \times \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0} \times \frac{ \sqrt{3} }{2} \\ \\ &= \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{4 \pi ε _0} \end{align} \)

よってベクトル\(F_2\)[N]の大きさは、

\( \begin{align} F_2 &= \sqrt{ 0^2 + \left( \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{4 \pi ε _0} \right) ^2 } \\ \\ &= \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{4 \pi ε _0} \end{align} \)

点電荷にはたらく力の大きさの比\(F_2 / F_1 \)を求める

\( \displaystyle \frac{F_2}{F_1} = \displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{1}{4 \pi ε _0 } }{ \displaystyle \frac{ \sqrt{3} }{4 \pi ε _0} } = \sqrt{3} \)

したがって、答えは(3)となる。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
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