【過去問解説】H21年理論 問2 静電気に関する選択問題

問題

静電気に関する記述として,正しいのは次のうちどれか。

(1) 二つの小さな帯電体の間に働く力の大きさは,それぞれの帯電体の電気量の和に比例し,
  その距離の2乗に反比例する。
(2) 点電荷が作る電界は点電荷の電気量に比例し,距離に反比例する。
(3) 電気力線の任意の点での接線の方向は,その点の電界の方向に一致する。
(4) 等電位面上の正電荷には,その面に沿った方向に正のクーロン力が働く。
(5) コンデンサの電極板間にすき間なく誘電体を入れると,静電容量と電極板間の電界は,
  誘電体の誘電率に比例して増大する。

解説

答え:(3)

(1) 二つの帯電体間に働く静電気力について

帯電体A,Bがそれぞれ,電荷 \(Q_A \ \rm[C]\) ,\(Q_B \ \rm[C]\) で帯電し,帯電体間の距離が \(r \ \rm [m]\) であるとき,誘電率を \(\varepsilon\ \rm[F/m]\)とすると,静電気力 \(F\ \rm[N]\)は,

\( F = \displaystyle \frac{Q_A Q_B }{4 \pi \varepsilon r^2} \)

の式で表すことができます。

この式は,二つの電荷の積に比例し,距離の2乗に反比例することを表しているので,(1)は誤りとなります。

(2) 点電荷が作る電界について

点電荷 \(Q \ \rm[C]\) が作る電界 \(E \ \rm[V/m] \) は,誘電率を \(\varepsilon\ \rm[F/m]\) ,距離を \(r \ \rm[m] \) とすると次の式で表すことができます。

\( E = \displaystyle \frac{Q}{4 \pi \varepsilon r^2} \)

電界の大きさは,点電荷の電気量に比例し,距離の2乗に反比例するため,(2)も誤りとなります。

(3) 電気力線と電界の向きについて

電気力線の任意の点での接線は,その点における電界の向きを表しています。

よって,(3)が正しいことが分かります。

(4) 等電位面について

等電位面は,電位の大きさが等しい地点を結んだとにできる面になります。

電荷にクーロン力を働かせる電界は,等電位面と垂直に交わるので,クーロン力が働く方向は,等電位面に対して垂直方向となります。

したがって,(4)も誤りとなります。

(5) コンデンサの静電容量,電界と誘電率の関係について

コンデンサの静電容量\(C \ \rm[F]\) は,電極板面積を \(S\ \rm[m^2]\) ,極板間距離を \(d \ \rm[m]\) ,誘電率を \(\varepsilon \ \rm [F/m]\)とすると,

\( C = \varepsilon \displaystyle \frac{S}{d} \)

と表すことができ,誘電率に比例することが分かります。

一方,コンデンサの電界 \( E \ \rm[V/m\) は,電源電圧を \(V \ \rm[V]\)とすると,

\( E = \displaystyle \frac{V}{d} \)

で表され,誘電率に依存しないため,(5)も誤りであることが分かります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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