【過去問解説】H22年理論 問1 静電気力に関する計算問題

問題

 真空中において,図のように点 A に正電荷 \(+4Q\) [C] ,点 B に負電荷 \(−Q\) [C] の点電荷が配置されている。この 2 点を通る直線上で電位が \(0\) [V] になる点を点 P とする。点 P の位置を示すものとして,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。なお,無限遠の点は除く。
 ただし,点 A と点 B 間の距離を l [m] とする。また,点 A より左側の領域を a 領域,点 A と点 B の間の領域を ab 領域,点 B より右側の領域を b 領域とし,真空の誘電率を \(\varepsilon_0\) [F/m] とする。

$$ \begin{array}{cccc} \ & a領域 & ab領域 &  b領域 \\ \hline (1) &点 A より左 \displaystyle \frac{l}{3}\ [\rm m] の点 &この領域には存在しない &点 B より右 l\ [\rm m] の点 \rule[-5mm]{0mm}{15mm} \\ \hline (2) &この領域には存在しない &点 A より右 \displaystyle \frac{4l}{5}\ [\rm m] の点 &点 B より右 \displaystyle \frac{l}{3}\ [\rm m] の点 \rule[-5mm]{0mm}{15mm} \\ \hline (3) &この領域には存在しない &この領域には存在しない &点 B より右 l\ [\rm m] の点 \rule[-5mm]{0mm}{15mm} \\ \hline (4) &点 A より左 \displaystyle \frac{l}{3}\ [\rm m] の点 &点 A より右 \displaystyle \frac{4l}{5}\ [\rm m] の点 &点 B より右 \displaystyle \frac{l}{3}\ [\rm m] の点 \rule[-5mm]{0mm}{15mm} \\ \hline (5) &この領域には存在しない &点 A より右 \displaystyle \frac{4l}{5}\ [\rm m] の点 &点 B より右 l\ [\rm m] の点 \\ \hline \end{array} $$

解説

答え:(2)

a領域における電位を計算する

点Pから点Aまでの距離を\(r\) [m]とした場合,点Aの電荷による電位\( V_{AP}\)と点Bの電荷による電位\( V_{BP}\)はそれぞれ以下の式で表すことができます。

\( V_{AP} = \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 r} \) [V]

\( V_{BP} = \displaystyle \frac{-Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( r + l \right) } \) [V]

ただし,\( r >0 \)

点Pでは電位が\(0\) [V]になるので,

\( \begin{align} V_{AP} + V_{BP} &= 0 \\ \\ \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 r} + \displaystyle \frac{-Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( r + l \right) } &= 0 \\ \\ \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 r} &= \displaystyle \frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( r + l \right)} \\ \\ 4\times \left( r + l \right) &= r \\ \\ 3r &= -4l \\ \\ r &= -\displaystyle \frac{4l}{3} \end{align} \)

と計算することができますが,\( r = – \displaystyle \frac{4l}{3} < 0 \)となってしまうため,条件に当てはまりません。

したがって,a領域には,電位が\(0\) [V]となる位置が存在しないことが分かります。

ab領域における電位を計算する

点Pから点Aまでの距離を\(r\) [m]とした場合,点Aの電荷による電位\( V_{AP}\)と点Bの電荷による電位\( V_{BP}\)はそれぞれ以下の式で表すことができます。

\( V_{AP} = \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 r} \) [V]

\( V_{BP} = \displaystyle \frac{-Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( l – r l \right) } \) [V]

ただし,\( r >0 \)

点Pでは電位が\(0\) [V]になるので,

\( \begin{align} V_{AP} + V_{BP} &= 0 \\ \\ V_{AP} &= -V_{BP} \\ \\ \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 r} &= \displaystyle \frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( l – r l \right) } \\ \\ 4 \left( l – r \right) &= r \\ \\ 5r &= 4l \\ \\ r &= \displaystyle \frac{4l}{5} \end{align} \)

と計算することができます。\( r = \displaystyle \frac{4l}{5} > 0\)なので,条件に当てはまるため,ab領域で電位が\( 0\) [V]となるのは,点Aから右に\( \displaystyle \frac{4l}{5} \) [m]の位置となります。

b領域における電位を計算する

点Pから点Bまでの距離を\(r\) [m]とした場合,点Aの電荷による電位\( V_{AP}\)と点Bの電荷による電位\( V_{BP}\)はそれぞれ以下の式で表すことができます。

\( V_{AP} = \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( r + l \right) } \) [V]

\( V_{BP} = \displaystyle \frac{-Q}{4\pi \varepsilon_0 r } \) [V]

ただし,\( r >0 \)

点Pでは電位が\(0\) [V]になるので,

\( \begin{align} V_{AP} + V_{BP} &= 0 \\ \\ V_{AP} &= -V_{BP} \\ \\ \displaystyle \frac{+4Q}{4\pi \varepsilon_0 \left( r + l \right) } &= \displaystyle \frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r } \\ \\ 4r &= \left( r + l \right) \\ \\ 3r &= l \\ \\ r &= \displaystyle \frac{l}{3} \end{align} \)

と計算することができます。\( r = \displaystyle \frac{l}{3} > 0\)なので,条件に当てはまるため,b領域で電位が\( 0\) [V]となるのは,点Bから右に\( \displaystyle \frac{l}{3} \) [m]の位置となります。

したがって,答えは(2)になります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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