【過去問解説】H27理論 問2 平行板コンデンサに関する穴埋め問題

問題

図のように,真空中で2枚の電極を平行に向かい合せたコンデンサを考える。各電極の面積を\(A\ \rm [m^2]\),電極の間隔を\(l\) [m]とし,端効果は無視すると,静電容量は \( \fbox {  (ア) } \)  [F]である。このコンデンサに直流電圧源を接続し,電荷\(Q\) [C]を充電してから電圧源を外した。このとき,電極間の電界\( E \) = \( \fbox { (イ) } \) [V/m]によって静電エネルギー\(W \) = \( \fbox { (ウ) } \) [J]が蓄えられている。この状態で電極間隔を増大させると静電エネルギーも増大することから,二つの電極間には静電力の\( \fbox { (エ) } \)が働くことが分かる。
ただし,真空の誘電率を\(ε_0 \) [F/m]とする。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

$$ \begin{array}{ccccc} \ &(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)\\ \hline (1) &ε_0\displaystyle \frac{A}{l} &\displaystyle \frac{Ql}{ε_0 A} &\displaystyle \frac{Q^2 l}{ε_0A} &引力 \\ \hline (2) &ε_0\displaystyle \frac{A}{l} &\displaystyle \frac{Q}{ε_0 A} & \displaystyle \frac{Q^2 l}{2ε_0A} &引力 \\ \hline (3) & \displaystyle \frac{A}{ε_0 l} & \displaystyle \frac{Ql}{ε_0 A} & \displaystyle \frac{Q^2 l}{2ε_0A} & 斥力 \\ \hline (4) &ε_0\displaystyle \frac{A}{l} &\displaystyle \frac{Q}{ε_0 A} &\displaystyle \frac{Q^2 l}{ε_0A} &斥力 \\ \hline (5) &ε_0\displaystyle \frac{A}{l} &\displaystyle \frac{Q}{ε_0 A} & \displaystyle \frac{Q^2 l}{2ε_0A} &斥力 \\ \hline \end{array} $$

解説

答え:(2)

(ア):平行板コンデンサの静電容量について

各電極の面積を\(A\ \rm [m^2]\),電極の間隔を\(l\) [m],真空の誘電率を\(ε_0 \) [F/m]とすると,静電容量\(C\) [F]は以下の式で表すことができます。

\( C = ε_0 \displaystyle \frac{A}{l} \)

(イ):電荷\(Q\)で充電しているときの電極間の電界\( E \)について

電荷\(Q\) [C]で充電しているとき,極板間の電位差(電圧)\(V\)は,

\( V = \displaystyle \frac{Q}{C} = \displaystyle \frac{Ql}{ε_0 A}\)

と表すことができるので,電極間の電界\( E \) [V/m]の大きさは,

\( \begin{align} E &= \displaystyle \frac{V}{l} \\ \\ &= \displaystyle \frac{\displaystyle \frac{Ql}{ε_0 A}}{l} \\ \\ &= \displaystyle \frac{Q}{ε_0 A} \end{align} \)

となります。

(ウ):静電エネルギーの大きさについて

静電エネルギーの式は,

\( W = \displaystyle \frac{1}{2} QV\)

で表すことができます。よって、(ウ)は以下の式となります。

\( \begin{align} W &= \displaystyle \frac{1}{2}QV \\ \\ &= \displaystyle \frac{1}{2} \times Q \times \displaystyle \frac{Ql}{ε_0 A} \\ \\ &= \displaystyle \frac{Q^2l}{2ε_0 A} \end{align} \)

(エ):静電気力の種類

上側の極板はプラスに帯電し,下側の極板はマイナスに帯電しているので,2つの極板の間には引き合う力(引力)が働きます。

物体に加える力\(F\)[N],物体の移動距離\(l\) [m]とエネルギー\(W\) [J]の間には,
\( W = F \times \delta l \)
の関係式が成り立ちます。力とエネルギーの式より、
「極板間にはたらいている力に逆らって力を加える=エネルギーを与える」となるため,
問題文中の「極板間距離を広げると,エネルギーは増大した」の記述より,極板間には引力が働いていたと考えられます。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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