【過去問解説】R4下期理論 問6 コンデンサのみの直流回路の計算問題

問題

電圧  の直流電源と静電容量  の二つのコンデンサを接続した図1,図2のような二つの回路に関して,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 図1の回路のコンデンサの合成静電容量は,図2の回路の  倍である。

(2) コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーは,図1の回路の方が図2の回路より大きい。

(3) 図2の回路に,さらに静電容量  のコンデンサを直列に二つ追加して,四つのコンデンサが直列になるようにすると,コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1と等しくなる。

(4) 図2の回路の電源電圧を  倍にすると,コンデンサ全体に蓄えられる電界のエネルギーが図1の回路と等しくなる。

(5) 図1のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷は,図2のコンデンサ一つ当たりに蓄えられる電荷の  倍である。

解説

答え:(3)

コンデンサの合成静電容量について

【図1の場合】

コンデンサは並列接続であるから,合成静電容量 は,

【図2の場合】

コンデンサは直セル接続であるから,合成静電容量 は,

Undefined control sequence \tiems

以上のことから,図1の回路の合成静電容量 は,図2の回路の合成静電容量 に対して

となるので,4倍になっていることが計算から求められます。

静電エネルギーの大きさについて

図1,図2それぞれの静電エネルギーの大きさを とすると,

と計算することができます。静電エネルギーの大きさを比べると となるので,図1の方が静電エネルギーが大きいことが分かります。

図2の回路にコンデンサを追加した場合の静電エネルギーの大きさ

問いにあるように,図2の回路に静電容量 のコンデンサを4つ直列に接続すると回路は以下のようになります。

この時の回路全体の静電容量の大きさ は,

Unknown environment 'laign'

となります。したがって,静電エネルギー の大きさは,

と計算できます。これは図2の静電エネルギー よりも小さい値であるため,問いの記述は誤りであることが分かります。

図2の回路の電源電圧を 倍にしたときの静電エネルギー

電源電圧を から 倍の にした場合の静電エネルギーの大きさ は,

と計算できます。したがって,静電エネルギー となるので,(4)の記述は正しいことが分かります。

1つのコンデンサに蓄えられる電荷

図1の回路は,2つのコンデンサが並列に接続されているため,各コンデンサに印加される電圧の大きさは等しく,電源電圧の大きさ なります。したがって,1つのコンデンサに蓄えられる電荷量 Undefined control sequence \[ は,

と計算できます。

次に,図2の場合は,2つのコンデンサが直列に接続されているので,各コンデンサに蓄えられる電荷量は同じ大きさになります。2つのコンデンサの合計の電荷量 は,

となります。

2つのコンデンサの合計の電荷量が であるから,1つのコンデンサあたりの電荷量 は,

図1と図2のコンデンサ1つあたりに蓄えられる電荷量を比較すると,

となるため,図1の1つのコンデンサが蓄える電荷量は,図2の1つのコンデンサが蓄える電荷量の4倍であることが分かります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
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