【過去問解説】H23年理論 問1 静電気に関する選択問題

問題

静電界に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 電気力線は,導体表面に垂直に出入りする。
(2) 帯電していない中空の球導体 B が接地されていないとき,帯電した導体 A を導体 B で包んだとしても,導体 B の外部に電界ができる。
(3)  \(Q\) [C] の電荷から出る電束の数や電気力線の数は,電荷を取り巻く物質の誘電率 \(\varepsilon\) [F/m] によって異なる。
(4) 導体が帯電するとき,電荷は導体の表面にだけ分布する。
(5) 導体内部は等電位であり,電界は零である。

解説

答え:(3)

(1) 電気力線の導体への出入について

電気力線が導体に出入りする際には,導体表面に垂直に出入りします。(正しい)

(2) 帯電した導体 A を導体 B で包んだ場合の電界の様子

帯電していない導体 Bで,帯電した導体 A を包んだ場合,電界の様子は以下のようになります。

導体Bの内部は電界が発生しませんが,導体内部の電荷は移動することができるため、導体外側には電界が発生します。(正しい)

(3)  \(Q\) [C] の電荷から出る電束の数や電気力線の数について

電荷 \( Q\) [C]の電荷から出る電束と電気力線の本数はぞれぞれ以下のように表すことができます。

\( 電束 = Q \) [本]

\( 電気力線 = \displaystyle \frac{Q}{\varepsilon} \) [本]
\( \varepsilon\)は,誘電率を表しています。

したがって,電気力線の本数は誘電率\( \varepsilon \) [F/m]に影響を受けますが,電束は電荷量と同じ大きさになるため誘電率\( \varepsilon\)の影響を受けません。(誤り)

(4) 導体が帯電するとき,電荷分布について

導体が帯電しているときの電荷分布の様子は,以下の図のようになります。

導体が帯電する場合,導体内部で電荷同士が反発するため,反発する力が最も小さくなるような位置に移動していきます。結果的に,電荷は図のように導体表面に帯電されます。(正しい)

(5) 導体内部の電位と電界について

導体内部には正の電荷と負の電荷が同じ数だけ存在します。電界中に導体を置いた場合,下図のように電荷が移動し,電気力線が導体内部に入り込むことができません。

電気力線が入り込むことができないので,導体内部の電界はゼロとなり,電位は等電位になります。(正しい)

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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