【過去問解説】H24理論 問3 インダクタンスに関する穴埋め問題

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問題

次の文章は,コイルのインダクタンスに関する記述である。ここで,鉄心の磁気飽和は,無視できるものとする。
均質で当断面の環状鉄心に被覆電線を巻いてコイルを作成した。このコイルの自己インダクタンスは,巻数の \( \fbox{ (ア) } \) に比例し,磁路の \( \fbox{ (イ) } \) に反比例する。
同じ鉄心にさらに被覆電線を巻いて別のコイルを作ると,これら二つのコイルの間には相互インダクタンスが生じる。相互インダクタンスの大きさは,漏れ磁束が \( \fbox{ (ウ) } \) なるほど小さくなる。それぞれのコイルの自己インダクタンスを \(L_1\ \rm[H]\) ,\(L_2\ \rm[H]\) とすると,相互インダクタンスの最大値は \( \fbox{ (エ) } \) \(\rm[H]\) である。
これら二つのコイルを \( \fbox{ (オ) } \) とすると,合成インダクタンスの値は,それぞれの自己インダクタンスの合計よりも大きくなる。

上記の記述中の空欄箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組み合わせとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

$$ \begin{array}{cccccc} \ &(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)&(オ)\\ \hline (1) &1乗  &断面積  &少なく  &L_1 + L_2  &差動接続  \\ \hline (2) &2乗  &長 さ  &多 く  &L_1 + L_2  &和動接続  \\ \hline (3) &1乗  &長 さ  &多 く  &\sqrt{L_1 L_2}  &和動接続  \\ \hline (4) &2乗  &断面積  &少なく  &L_1 + L_2  &差動接続  \\ \hline (5) &2乗  &長 さ  &多 く  &\sqrt{L_1 L_2 }  &和動接続  \\ \hline \end{array} $$

解説

答え:(5)

コイルの自己インダクタンス

上図のようなコイルの場合,自己インダクタンスを \(L_1 \ \rm H\),コイルを流れる電流を \(I\ \rm A\) ,巻数を \(N\) ,鎖交磁束を \(\phi\) とすると,以下の関係式が成り立ちます。

\(\begin{align} L_1 I &= N \phi \\ L_1 &= \displaystyle \frac{N\phi}{I} \tag{1} \end{align} \)

鎖交磁束 \(phi\) は,磁束密度を \(B\ \rm T\) ,鉄心の断面積を \(S\ \rm m^2\) ,透磁率を \( \mu \ \rm H/m\) ,磁界の大きさを \(H\ \rm A/m\),磁路の長さを \(l\ \rm m\) とすると,

\(\begin{align} \phi &= B \times S \\ &= \mu H \times S \\ &= \mu \displaystyle \frac{NI}{l} \times S \\ &= \displaystyle \frac{\mu N I S}{l} \tag{2} \end{align} \)

式(1),(2)より自己インダクタンス\(L_1\)は,

$$ \begin{align} L_1 &= \displaystyle \frac{N}{I} \phi \\ \\ &=\displaystyle \frac{N}{I} \times \displaystyle \frac{\mu NIS}{l} \\ \\ L_1 &= \displaystyle \frac{\mu S N^2}{l} \end{align} $$

と書き表すことができるため,自己インダクタンスは,巻数の2乗」に比例し,「磁路の長さ」に反比例します。

コイルの相互インダクタンス

上図より,コイル1に電流が流れると磁束が発生し,コイル1だけ貫く磁束とコイル1とコイル2の両方を貫く磁束に分かれます。この時,2つのコイルを貫く磁束は,コイル2にも誘導起電力 \(e_2\) を発生させます。この現象を相互誘導といい,相互誘導の影響度合いを表したものが相互インダクタンスです。

相互インダクタンス \(M\) は,コイル1の自己インダクタンス \(L_1\) とコイル2の自己インダクタンス \(L_2\) を用いて,

\( M = \sqrt{L_1 L_2} \)

と表すことができます。

したがって,コイル1の漏れ磁束が多くなると2つのコイルを貫く磁束が少なくなるため,コイル2に発生する起電力 \(e_2\) は小さくなります。すなわち,相互インダクタンスが小さくなったと考えられます。

コイルの接続

コイルの接続方法には,「和動接続」と「差動接続」の2つがあります。

和動接続…下図のように各コイルの作る磁界が同じ向きになり,磁束を強めあう接続方法です。

差動接続…下図のように各コイルの作る磁界が逆向きになり,磁束を打ち消しあうような接続方法です。

問題文には,「2つのコイルを接続した場合,それぞれの自己インダクタンスの合計よりも大きくなった」と記載があるので,「和動接続と考えられます。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
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