【過去問解説】R1年理論 問1 点電荷の電位に関する選択問題

問題

 図のように,真空中に点P,点A,点B,が直線上に配置されている。点Pは\(Q\ [C]\)の点電荷を置いた点とし,A-B間に生じる電位差の絶対値を\(|V_{AB}|\ [V]\)とする。次の(a)~(d)の四つの実験を個別に行ったとき,\(|V_{AB} \ [V]\)の値が最小となるものと最大となるものの実験の組み合わせとして,正しい物を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

[実験内容]
(a) P-A間の距離を\(2\ m\),A-B間の距離を\(1\ m\)とした。
(b) P-A間の距離を\(1\ m\),A-B間の距離を\(2\ m\)とした。
(c) P-A間の距離を\(0.5\ m\),A-B間の距離を\(1\ m\)とした。
(d) P-A間の距離を\(1\ m\),A-B間の距離を\(0.5\ m\)とした。

(1) (a)と(b) (2) (a)と(c) (3) (a)と(d) (4) (b)と(c) (5) (c)と(d)

解説

答え:(1)

点電荷の作る電位の公式\(V = \displaystyle \frac{Q}{4 \pi εr}\)に各条件を代入して点A,点Bにおける電位計算し、A-B間の電位差を求めます。

(a)の場合

点A,点Bにおける電位はそれぞれ以下のように計算できます。

$$ V_A = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times 2} = \frac{Q}{8\pi ε_0} $$

$$ V_B = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times (2+1)} = \frac{Q}{12\pi ε_0} $$

よって\(V_{AB}\ [V]\)の大きさは、

$$ \begin{align} V_{AB} &= V_A – V_B \\ &= \frac{Q}{8\pi ε_0}-\frac{Q}{12\pi ε_0} \\ &= \frac{3Q}{24\pi ε_0}-\frac{2Q}{24\pi ε_0} = \frac{Q}{24\pi ε_0} \end{align} $$

となります。同様に(b)~(d)の場合についても計算していきます。

(b)の場合

点A,点Bにおける電位はそれぞれ以下のように計算できます。

$$ V_A = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times 1} = \frac{Q}{4\pi ε_0} $$

$$ V_B = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times (1+2)} = \frac{Q}{12\pi ε_0} $$

よって\(V_{AB}\ [V]\)の大きさは、

$$ \begin{align} V_{AB} &= V_A – V_B \\ &= \frac{Q}{4\pi ε_0}-\frac{Q}{12\pi ε_0} \\ &= \frac{3Q}{12\pi ε_0}-\frac{Q}{12\pi ε_0} = \frac{Q}{12\pi ε_0} \end{align} $$

となります。

(c)の場合

点A,点Bにおける電位はそれぞれ以下のように計算できます。

$$ V_A = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times 0.5} = \frac{Q}{2\pi ε_0} $$

$$ V_B = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times (0.5+1)} = \frac{Q}{6\pi ε_0} $$

よって\(V_{AB}\ [V]\)の大きさは、

$$ \begin{align} V_{AB} &= V_A – V_B \\ &= \frac{Q}{2\pi ε_0}-\frac{Q}{6\pi ε_0} \\ &= \frac{3Q}{6\pi ε_0}-\frac{Q}{6\pi ε_0} = \frac{Q}{6\pi ε_0} \end{align} $$

となります。

(d)の場合

点A,点Bにおける電位はそれぞれ以下のように計算できます。

$$ V_A = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times 1} = \frac{Q}{4\pi ε_0} $$

$$ V_B = \frac{Q}{4 \pi ε_0 \times (1+0.5)} = \frac{Q}{6\pi ε_0} $$

よって\(V_{AB}\ [V]\)の大きさは、

$$ \begin{align} V_{AB} &= V_A – V_B \\ &= \frac{Q}{4\pi ε_0}-\frac{Q}{6\pi ε_0} \\ &= \frac{3Q}{12\pi ε_0}-\frac{2Q}{12\pi ε_0} = \frac{Q}{12\pi ε_0} \end{align} $$

となります。

以上の計算結果から,(a)のときが最小になり,(c)のときが最大となることが分かります。
よって答えは(2)になります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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