【過去問解説】R2理論 問6 抵抗のみの直流回路の計算問題

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問題

図のように,三つの抵抗 \(R_1 = 3\ \Omega\) , \(R_2 = 6\ \Omega\) , \(R_3 = 2\ \Omega\) と電圧 \(V\ \rm[V]\) の直流電源からなる回路がある。抵抗 \(R_1\) , \(R_2\) , \(R_3\) の消費電力をそれぞれ \(P_1\ \rm[W]\) , \(P_2\ \rm[W]\) , \(P_3\ \rm[W]\) とするとき,その大きさの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) \( P_1 > P_2 > P_3 \)  (2) \( P_1 > P_3 > P_2\) (3) \(P_2 > P_1 > P_3\) 
(4) \( P_2 > P_3 > P_1 \)  (5) \( P_3 > P_1 > P_2\)

解説

答え:(2)

回路を流れる電流を求める

上図のように,回路の各点を流れる電流をそれぞれ,\(I_1 \) ,\(I_2\) ,\(I_3\) で表すことにします。

並列に接続された抵抗\(R_2\) と \(R_3\) の合成抵抗 \(R_4\) の大きさは,

\(\begin{align} R_4 &= \displaystyle \frac{R_2 \times R_3}{R_2 + R_3} \\ \\ &= \displaystyle \frac{6 \times 2}{6+2} \\ \\ &= \displaystyle \frac{12}{8} \\ \\ &=\displaystyle \frac{3}{2} \\ \\ &= 1.5 \ \Omega \end{align} \)

したがって,回路全体を流れる電流 \(I_1\ \rm [A]\) の大きさは,

\(\begin{align} I_1 &= \displaystyle \frac{V}{R_1 + R_4} \\ \\ &= \displaystyle \frac{V}{3 + 1.5} \\ \\ &= \displaystyle \frac{V}{4.5} \\ \\ &= \displaystyle \frac{2V}{9} \ \rm [A] \end{align} \)

と計算できます。

電流 \(I_1\) ,\(I_2\) ,\(I_3\) の大きさは,抵抗の大きさの逆数に比例するので,

\(\begin{align} I_1 : I_2 : I_3 &= \displaystyle \frac{1}{R_4} : \displaystyle \frac{1}{R_2} : \displaystyle \frac{1}{R_3} \\ \\ \displaystyle \frac{2V}{9} : I_2 : I_3 &= \displaystyle \frac{2}{3} : \displaystyle \frac{1}{6} : \displaystyle \frac{1}{2} \end{align} \)

と表すことができます。したがって,電流 \(I_2\) ,\(I_3\) の大きさは,

【電流 \(I_2\ \rm[A]\) の大きさ】

\(\begin{align} I_1 : I_2 &= \displaystyle \frac{2}{3} : \displaystyle \frac{1}{6} \\ \\ \displaystyle \frac{2V}{9} : I_2 &= \displaystyle \frac{2}{3} : \displaystyle \frac{1}{6} \\ \\ I_2 \times \displaystyle \frac{2}{3} &= \displaystyle \frac{2V}{9} \times \displaystyle \frac{1}{6} \\ \\ I_2 &= \displaystyle \frac{2V}{9} \times \displaystyle \frac{1}{6} \color{red}{ \times \displaystyle \frac{3}{2}} \\ \\ I_2 &= \displaystyle \frac{V}{18} \ \rm [A] \end{align} \)

【電流 \(I_3\ \rm[A]\) の大きさ】

\(\begin{align} I_1 : I_3 &= \displaystyle \frac{2}{3} : \displaystyle \frac{1}{2} \\ \\ \displaystyle \frac{2V}{9} : I_3 &= \displaystyle \frac{2}{3} : \displaystyle \frac{1}{2} \\ \\ I_3 \times \displaystyle \frac{2}{3} &= \displaystyle \frac{2V}{9} \times \displaystyle \frac{1}{2} \\ \\ I_3 &= \displaystyle \frac{2V}{9} \times \displaystyle \frac{1}{2} \color{red}{\times \displaystyle \frac{3}{2}} \\ \\ I_3 &= \displaystyle \frac{V}{6} \ \rm[A] \end{align} \)

以上のように計算することができます。

電力 \(P_1\) ,\(P_2\),\(P_3\) の大きさを計算する

電力の公式

電力:\(P = V \times I = R \times I^2 \ \rm[W]\)
\(V\) : 電圧 [V]
\(I\) : 電流 [A]
\(R\) : 抵抗 [\(\Omega\)]

 抵抗で消費される電力は上記の式で計算することができるので,抵抗の値と電流の値から消費電力\(P_1\) ,\(P_2\),\(P_3\) の大きさを計算します。

【電力 \(P_1\) の大きさ】

\( \begin{align} P_1 &= R_1 \times I_1 ^2 \\ \\ &= 3 \times \left( \displaystyle \frac{2V}{9} \right) ^2 \\ \\ &= 3 \times \displaystyle \frac{4V^2}{81} \\ \\ &= \displaystyle \frac{4V^2}{27} \ \rm[W] \end{align} \)

【電力 \(P_2\) の大きさ】

\( \begin{align} P_2 &= R_2 \times I_2 ^2 \\ \\ &= 6 \times \left( \displaystyle \frac{V}{18} \right)^2 \\ \\ &= 6 \times \displaystyle \frac{V^2}{18 \times18} \\ \\ &= \displaystyle \frac{V^2}{3 \times 18} \\ \\ &= \displaystyle \frac{V^2}{54} \ \rm[W] \end{align} \)

【電力 \(P_3\) の大きさ】

\( \begin{align} P_3 &= R_3 \times I_3 ^2 \\ \\ &= 2 \times \left( \displaystyle \frac{V}{6} \right) ^2 \\ \\ &= 2 \times \displaystyle \frac{V^2}{36} \\ \\ &= \displaystyle \frac{V^2}{18} \ \rm[W] \end{align} \)

電力\(P_1\) ,\(P_2\),\(P_3\) の大きさを比較する

電力の大きさを比較するために,分母の数をそろえる必要があります。今回は分母の数が一番大きい \(P_2\) の値にそろえることにします。

【電力 \(P_1\) の大きさ】

\(\begin{align} P_1 &= \displaystyle \frac{4V^2 \color{red}{\times 2}}{27 \color{red}{\times 2}} \\ \\ &= \displaystyle \frac{8V^2}{54} \end{align} \)

【電力 \(P_2\) の大きさ】

\(P_2 = \displaystyle \frac{V^2}{54} \)

【電力 \(P_3\) の大きさ】

\( \begin{align} P_3 &= \displaystyle \frac{V^2 \color{red}{\times 3}}{18 \color{red}{\times 3}} \\ \\ &= \displaystyle \frac{3V^2}{54} \end{align} \)

以上のようになるので,電力の大きさを比較すると,

\( P_1 > P_3 > P_2 \)

となり,答えは(2)になります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
目標は、電気監理技術者と独立し、年収1000万以上を達成することです。

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