【過去問解説】R4年上期理論 問17 コンデンサに関する計算問題

問題

図のように直列に接続された二つの平行平板コンデンサに \(120\) V の電圧が加わっている。コンデンサ \(\rm C_1\) の金属板間は真空であり、コンデンサ \(\rm C_2\) の金属板間には比誘電率 \(ε_r\) の誘電体が挿入されている。コンデンサ \(\rm C_1\) 、\(\rm C_2\) の金属板間の距離は等しく、 \(\rm C_1\) の金属板の面積は \(\rm C_2\) の 2 倍である。このとき、コンデンサ \(\rm C_1\) の両端の電圧が \(80\) V であった。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

(a) コンデンサ\(\rm C_2\) の誘電体の比誘電率 \(ε_r\) の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1)  \(1\)   (2)  \(2\)   (3)  \(3\)   (4)  \(4\)   (5) \( 5\)  

(b)  \(C_1\) の静電容量が \(30\) μF のとき、 \(\rm C_1\) と \(\rm C_2\) の合成容量の値 [μF] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1)  \(10\)   (2)  \(20\)   (3)  \(30 \)  (4)  \(40\)   (5)  \(50\)  

解説

答え:(a)-(4)、(b)-(2)

(a) 誘電体の比誘電率を求める

コンデンサ\(\rm C_1\)、\(\rm C_2\)の静電容量を求める

コンデンサ\(\rm C_1\)の極板の面積を\(S \rm[m^2]\)、真空中の誘電率を\(ε_0 \rm [F/m] \)、極板間の距離を\(d \rm [m]\)とすると、コンデンサ\(\rm C_1\)と\(\rm C_2\)の静電容量\(C_1\)と\(C_2\)はそれぞれ以下のように表すことができます。

\( C_1 = ε_0 \displaystyle \frac{S}{d} \)

\( \begin{align} C_2 &= ε_rε_0 \displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{1}{2}S}{d} \\ \\ &= ε_r ε_0 \displaystyle \frac{S}{2d} \end{align} \)

よって、コンデンサ\(\rm C_2\)の静電容量は、コンデンサ\(\rm C_1\)の\( \displaystyle \frac{ε_r}{2}\)倍になります。

コンデンサ\(\rm C_1\)、\(\rm C_2\)に蓄えられる電荷の量を求める

問で与えられた図より、コンデンサ\(\rm C_1\)、\(\rm C_2\)は、直列に接続されているため、コンデンサ\(\rm C_1\)、\(\rm C_2\)に蓄えられる電荷の量は等しくなります。

問題文より、コンデンサ\(\rm C_1\)に印加される電圧の大きさは\(80\)Vであるので、蓄えられる電荷の量\(Q_1\)[C]は、

\( \begin{align} Q_1 &= C_1 \times V_1 \\ \\ &= ε_0 \displaystyle \frac{S}{d} \times 80 \\ \\ &= ε_0 \displaystyle \frac{80S}{d} \end{align} \)

と表すことができます。一方、コンデンサ\(\rm C_2\)に蓄えられる電荷の量\(Q_2\)は、

\( \begin{align} Q_2 &= C_2 \times V_2 \\ \\ &= ε_r ε_0 \displaystyle \frac{S}{2d} \times \left( 120 – 80 \right) \\ \\ &= ε_r ε_0 \displaystyle \frac{40S}{2d} \end{align} \)

となります。
コンデンサが直列に接続されているため、 コンデンサ\(\rm C_1\)、\(\rm C_2\)に蓄えられる電荷の量は等しくなるので、

\( \begin{align} Q_1 &= Q_2 \\ \\ ε_0 \displaystyle \frac{80S}{d} &= ε_r ε_0 \displaystyle \frac{40S}{2d} \\ \\ 80 &= 40 \times \displaystyle \frac{ε_r}{2} \\ \\ ε_r &= 4 \end{align} \)

よって、答えは(4)になります。

(b) \(\rm C_1\) と \(\rm C_2\) の合成容量の値 [μF] を求める

コンデンサ\(\rm C_2\)の静電容量の大きさを求める

問題文より、コンデンサ\(\rm C_1\)の静電容量は、\(30\)[μF]でなので、(a)で求めた比誘電率\(ε_r = 4\)を用いて、

\( C_2 = C_1 \times \displaystyle \frac{ε_r}{2} = 30 \times \displaystyle \frac{4}{2} = 60 \)[μF]

と計算することができます。

したがって、\(\rm C_1\) と \(\rm C_2\) の合成容量\(\rm C\)の大きさは、

\( \begin{align} \displaystyle \frac{1}{C} &= \displaystyle \frac{1}{C_1} + \displaystyle \frac{1}{C_2} \\ \\ &= \displaystyle \frac{1}{30} + \displaystyle \frac{1}{60} \\ \\ &= \displaystyle \frac{2+1}{60} \\ \\ \displaystyle \frac{1}{C} &= \displaystyle \frac{3}{60} =\displaystyle \frac{1}{20} \end{align} \)

よって、合成容量の大きさは\(20\)[μF]となり、答えは(2)になります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
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