【過去問解説】R4年下期理論 問4 電磁力の計算問題 

問題

 図のように,無限に長い 3 本の直線状導体が真空中に \(10\) cm の間隔で正三角形の頂点の位置に置かれている。 3 本の導体にそれぞれ \(7\) A の直流電流を同一方向に流したとき,各導体 \(1\) m 当たりに働く力の大きさ \(F_0\) の値 [N/m] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,無限に長い 2 本の直線状導体を \(r\) [m] 離して平行に置き, 2 本の導体にそれぞれ \(I\) [A] の直流電流を同一方向に流した場合,各導体 \(1\) m 当たりに働く力の大きさ \(F\) の値 [N/m] は,次式で与えられるものとする。

\( F = \displaystyle \frac{2I^2}{r} \times 10^{-7} \)

(1) \(0\)  (2) \(9.80×10^{−5}\)  (3) \(1.70×10^{−4}\)  (4) \(1.96×10^{−4}\)  (5) \(2.94×10^{−4}\)

解説

答え:(3)

直線状にある導体間に働く力の大きさを求める

問題の文より,無限に長い 2 本の直線状導体を \(r\) [m] 離して平行に置き, 2 本の導体にそれぞれ \(I\) [A] の直流電流を同一方向に流した場合,各導体 \(1\) m 当たりに働く力の大きさ \(F\) は,

\( F = \displaystyle \frac{2I^2}{r} \times 10^{-7} \)

で計算することができます。

この式に問題の条件,導体間の距離 \(r = 0.1 \ \rm m\),直流電流の大きさ \( I = 7\ \rm A\) を代入すると,

\( F = \displaystyle \frac{2 \times 7^2}{0.1} \times 10 ^{-7} = 9.8 \times 10 ^{-5} \)

と求めることができます。

力のベクトルを図に書き入れる

3つの直線状導体は,正三角形の頂点の位置に置かれているので,電磁力のベクトルを書きいれると下図のようになります。

図1

1つの導体に働く力 \(F_0\) は,2つ導体から受ける電磁力 \(F\) の合計になることが分かります。

導体に働く力 \(F_0\) を求める

導体に働く力 \(F_0\) は,2力の合成によって求めることができるため,力のベクトルの合成で考えることができます。

図2

図1のように,各頂点をA,B,Cとすると,A点に置かれた導体に働く力は,

横方向

\( \begin{align} F_x &= F_{AB} + F_{AC} \cos \displaystyle \frac{\pi}{3} \\ \\ &= 9.8 \times 10 ^{-5} + 9.8 \times 10 ^{-5} \times \displaystyle \frac{1}{2} \\ \\ &= \displaystyle \frac{3}{2} \times 9.8 \times 10 ^{-5} \end{align} \)

上下方向

\( \begin{align} F_y &= F_{AC} \sin \displaystyle \frac{\pi}{3} \\ \\ &= 9.8 \times 10 ^{-5} \times \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2} \end{align} \)

したがって、合力 \(F_0\) [N/m]は,

\( \begin{align} F_0 &= \sqrt{ \left( F_x \right) ^2 + \left( F_y \right) ^2} \\ \\ &= \sqrt{ \left( \displaystyle \frac{3}{2} \times 9.8 \times 10 ^{-5} \right) ^2 + \left( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2} \times 9.8 \times 10 ^{-5} \right) ^2} \\ \\ &= \sqrt{ \left( 9.8 \times 10 ^{-5} \right) ^2 \times \left( \displaystyle \frac{3^2}{2^2} + \displaystyle \frac{\left( \sqrt{3} \right) ^2}{2^2} \right) } \\ \\ &= 9.8 \times 10 ^{-5} \times \sqrt{ \displaystyle \frac{3+9}{4} } \\ \\ &= 9.8 \times 10 ^{-5} \times \sqrt{ 3 } \\ \\ &= 1.697 \times 10^{-4} \approx 1.7 \times 10^{-4} \end{align} \)

よって答えは(3)になります。

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この記事を書いた人

中学校教師から電気エンジに転職し現在は66kV/155MWの工場で電気主任技術者として活動中です。
電験3種、電験2種を独学で合格した経験から、初心者がつまづきやすいポイントをどこよりもわかりやすく解説する電験ブログを目指して活動しています。
2023年より、電験三種のオンライン家庭教師も始めました!
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