令和5年度より電験三種にも、CBT方式の試験が導入されます。試験日程は、次の通りです。
上期試験 CBT方式:7月6日(木)~ 7月30日(日)
筆記方式:8月20日(日)
下期試験 CBT方式:2月1日(木)~ 2月25日(日)
筆記方式:3月24日(日)
CBT方式は、約1か月間あり、日程調整がしやすいことが特徴的です。しかし、筆記方式に比べると1か月早い受験となるためデメリットもあるようです。
今回は、令和3年に行われたパイロット試験(プレ試験)に参加した際の感想・体験談を交えながら、CBT方式のメリット・デメリット等をまとめました。
今後の電験三種試験は大きく変化していきそうです!
CBT方式とは?
CBT方式とはComputer Based Testingの略称で、パソコンを使用して行われる試験方式のことです。
CBT方式はFP(ファイナンシャルプランナー)や簿記などで既に取り入れられている試験方式で、試験会場が複数あり、試験日も複数の候補日から自分で選択して受験できる非常に便利な試験方式です。
CBT方式を受験することができる試験センターは全国に200か所以上ある用です。
CBT方式の最大のメリットは、受験日を自分の都合に合わせて設定することができる点です。
令和5年度の第3種電気主任技術者試験の日程は以下の通りです。
令和5年度の試験では約3週間ほど試験期間が設けられている用です。また、受験の3日前までなら、受験日を変更することも可能なようです。
急な都合で試験日を変更することもできる点は、仕事をしながら受験を予定している高にとっては大きなメリットだと感じます。
しかし、筆記方式より約1か月早い受験をしなければいけないため、受験生にとって学習時間が少なくなり厳しい条件となっています。若干の不公平感が残るので、今後改善されて欲しいなと思います。
実際の試験会場は個別に仕切られたパソコン机がたくさんある部屋で監督者は一名いますが、声を出して指示を出す回数はかなり少なく、自分でパソコンを操作して試験を進めていくことになります。
CBT方式のメリット3選
受験日を自分で設定することができる
CBT方式の最大のメリットといえるのが、試験日を自分で選ぶことができる点です。
また、受験予定日の3日前までなら変更も可能なため、仕事のスケジュールが変わりやすい方でも銃内に対応することができます。
会場が複数あるため移動距離が短くなる
これまでは都心部の大学や講堂のみで試験が実施されてきましたが、CBT方式では、全国約200か所の受験可能な試験センターを用意するとのことです。
試験当日の移動距離が少なくなるだけでも、費用が抑えられるのでありがたいです。
複数回受験での合格の可能性が高くなる
CBT方式に限ったことではありませんが、1年に2回受験することができるため、科目合格制度を利用した資格取得がしやすくなります。
実際、令和4年度では、年間の合格者数は昨年に比べ約7,000人増加しました。
合格者数こそ、増加していますが、年間の合格率は昨年と同程度なため試験の質は変化していないと考えられます。
CBT方式のデメリット3選
試験回数、会場の増加に伴う試験費用の増額
これまで電験三種の受験料は6,000円程度でしたが、CBT方式の採用、年2回の試験実施に伴い受験料が7,700円(インターネット申し込みの場合)と1,000円以上の値上げがされています。
自己採点が難しい
CBT方式では、試験問題を持ち帰ることができません。そのため、試験後の自己採点を行うことは不可能に近いです。
また、問題も非公開なため傾向と対策を立てることが難しいと考えられます。
試験会場独自のルールが追加される
電気主任技術者試験のルールの他に、会場独自のルールにも従う必要があります。
パイロット試験を受験した際には、以下のようなルールがありました。
- 試験室に持ち込めるのは受験票のみ
- 筆記用具、電卓は会場の用意したものを使用する
- 受付時に免許証等で本に確認を受ける
CBT方式の会場に慣れていないと焦ってしまう方がでそうな内容でした。
CBT方式試験の流れ
受験までの流れは以下のようになっています。
- 会場の受付で受験の申し出をする
- 免許証等で本人確認を行う
- 不正等の防止のための同意書に署名をする
- 荷物は全て指定されたロッカーへしまう
- 再度受付に行き、受験票、筆記用具、メモ用紙を受け取る
- 試験会場(指定のパソコンの席)へ
- パソコンで受験票に記載されたIDとパスワードを入力しログインする
- 準備ができたら試験を開始する
個別に仕切られたパソコン机で試験を行うため持ち物の規制はかなり厳しかったです。
また、受験前に本人確認などを行うため早めに試験会場についておくことが必要になります。
パイロット試験に少し遅れて入場したときは、試験時間は90分確保されていましたが、本番の試験では試験時間がきっちり90分確保されているとは限りません。
時間にはより慎重になる必要がありそうです。
また、試験会場への持ち込みについてはCBT試験の方針が発表されたため明確になりました。
電卓のみ持ち込み可となったようです。
パイロット試験では持ち込み不可だったので非常に試験が進めにくかった印象です。
計算の多い電験の試験では、この改善は大きいと思います。
CBT方式が追加された理由
電気保安人材の減少と将来的な人手不足は以前から話題となっていました。その対策として、人材確保のために、試験回数の増加、多様なスケジュールに対応できるCBT方式の採用がなされたようです。
電気保安人材の増加をさせたいと考えているものの、質の低下を懸念しているため、試験内容については従来とほとんど変化はないようです。
電機新聞「電験3種、22年度から年2回の受験可能に。経産省、電気保安の人材確保へ」
CBT方式のプレテストを受験した感想
個人的な感想は、まだまだ紙での受験がいいなです。
試験日程と会場をある程度自由に選べる点は魅力的ではありますが、合格だけを考えたら、慣れし親しんだ紙での受験を選んだ方が無難です。
パイロット試験を受験したときに感じた、従来の試験と共通なところ、メリット、デメリットは以下の通りです。実際に試験導入にあたり、改善されていくものもある用です。
従来の試験と共通部分
- 途中退出が可能
- 試験時間は90分
- 使用できる電卓の機能は四則演算と開閉計算のみ
メリット
- 受験に必要な筆記用具忘れの心配がない
- 解答終了後すぐに採点された
- 複数の日程の中から試験日を選択できた
- 数日前なら日程変更ができた
デメリット
- 問題表示の画面が小さく全文が表示しきれないときがある
- 電卓が別ウィンドウで表示されるので使いにくい
- 問題用紙に書き込みができない
- 全体感が把握しにくい
- 問題の持ち帰りができない
CBT方式への対策
個人的には、筆記方式での受験をお勧めしますが仕事の都合上、CBT方式が良いという方へ対策を考えました。
1.勉強方法
CBT方式が導入されても、試験問題の内容には大きな変化はないようです。
また、過去問からの引用による作問のあるとのことですから、これまで以上に過去問演習は意味のある勉強方法になるのではないかと思います。
特にCBT方式では、複数の問題を用意することが必要ですから、過去問の改題は多くなるのではないかと思います。過去問は10年分を目安に取り組むとよいと思います。
電験1種や2種の二次試験では12,13年くらい前の過去問の類似問題がたくさん出題されています。
あまり古いものは入手が困難になってしまいますので、ひとまずは10年を目安に取り組むことをお勧めします。
2.合格点
試験全体のでの合格点の基準はこれまで同様60点の用です。
しかし、問題によっては点数調整が存在しました。CBT方式では、受験者数が少ないこと、問題の種類が多いことが予想されるため、点数調整はあまり期待しない方が良いと思います。
60点を取ることができれば文句なしに合格ですから、過去問演習を中心に60点を確実に取れる盤強を進めていきましょう。
3.パソコン操作に慣れる
日頃からパソコンを使用している方にとっては、慣れた操作だと思いますが、CBT方式の画面では操作性が異なる場合もあると考えます。
実際、パイロット試験では拡大縮小の動きがExcelなどとは違っていたので使いにくさを感じたほどです。
本番で焦らないためにも、CBT方式で受験される方はパソコンの基本操作方法はできるようにしておきましょう。
コメント